乗本畳店では、有職畳は職人の手作業で時間をかけ丁寧に制作しています。
そんな様子を紹介させていただきます。
ここでは繧繝四方縁と白中紋二方縁になります。
※補足
写真で黄色い糸で縫っているのが繧繝四方縁、緑の糸で縫っているのが白中紋二方縁になります。
寄せ集めの写真なので、たまにごちゃまぜになっていますが、気にしないで下さい。
1.縁の裁断と寸法の割り付け
有職畳で肝心なのは、畳縁の模様合わせです。
いかにしっかりとした畳が完成しても、模様がずれていたら全て台無しです。
畳表や縁などの素材の厚さや伸び縮みを計算して、完成した時の寸法、裁断した時の寸法を求めます。
また、同じ生地の縁でも端から端まで模様の大きさがそろっている事は稀な為、生地の歪みも踏まえて割り付けます。
2.框板作り
割り出した寸法に合わせて框板を仕立てます。
半畳の二畳台の場合四方に板を入れて柱を立てる為、框板を8枚と柱板20枚作ります。
地味な作業ですが、ここから土台作りまでは仕上がり寸法に大きく影響するので気が抜けません。
長さを合わせて板を切ります。
板を畳に縫いつける為の穴をキリで開けて行きます。
框板15穴×8枚+柱板2穴×20枚・・・地味な作業ですが、腕がくたくたになります。
框板が角で合わさる部分は薄く削ります。
3.土台作り
この土台の完成度で仕上がりの良し悪しが決まります。
板を畳に合わせて寸法を決め、畳床を畳包丁で裁断します。
四辺全て切った所です。
四辺の板を畳に縫いつけて行きます。
四辺全て縫いつけたら、畳を裏向けて足で強く糸を締め付けます。
最後に板が動かないように、更に角だけもう一度縫い付けます。
そして・・・同じものをもう一枚仕上げます。
二枚完成したら、積み上げて寸法を調えてから二枚を縫い合わせます。
二枚の畳は厚くて針先もわずかしか出ない為、ペンチで抜きます!
二枚の畳を貫通させて縫うので、ちょ~力仕事です。
力の入れ方を間違えると針を折ったり、怪我をする元なので、力いっぱい慎重に縫います。
全て縫い終わればまた、足で踏みながらしっかりと糸を締め付けます。
二枚の床を縫い合わせたら、柱を立てて畳の厚さの調整と土台の補強をします。
もちろん柱も動かないようにしっかりと縫いつけます。
最後に板の段差が表に出ないように『いガラ(い草)』をあてて、動かないように縫いとめます。
これで土台の完成です。
土台は二方縁・四方縁共に同じ工程です。
ここまでを休まずやって、なんとか丸一日で完成です。
4.二畳台の裏側の制作
土台が出来たら次は畳の裏側部分から制作します。
特上級の畳表を割り付けた寸法に裁断して、い草がほどけないように、経糸をかがり(縛り)つけます。
四方縁の場合、縛った糸がこぶになると完成した時に縁が凸凹してしまう為、極力こぶが小さくなるように経糸を一本ずつ丁寧にかがり(縛り)ます。
縁を畳表に縫いつけます。
框側から縫い出して、四角の模様が上手く合うように気を付けながら縫っていきます。
※有職畳の下紙には色々と試した結果、日めくりが一番融通がきいて丈夫と、縁下紙に最適でしたので、当店では日めくりを使っています。
縁が縫い終わったら土台に乗せて縫いつけて行きます。
同時に縁の角も縫いながら縁をつなげ角を調えます。
二方縁の場合、畳表は框板までの長さで制作します。
土台に縫いつける作業は同じです。
ここまでで裏が完成です。
お客様の御希望があればこの時に取っ手を縫いつけます。
5.二畳台の表側の制作
一番目に付く表側の制作には、どうしても緊張して力が入ってしまいます。
四方縁の場合
縁の縫い方は基本的に裏側と同じように縫います。
角もしっかりと柄が合うように作ります。
土台に乗せて、四辺の縁と縁を曲針で縫い合わせて仕上げます。
ぐるりが縫い終われば完成です。
きれいに模様が合えば最高の気分を味わえます。
二方縁の場合
二方縁の場合は普通の上敷きを作るように縫い、角だけ斜めに切り込んでおきます。
土台に表をかぶせて、シワが行かないように引っ張って待針で止めます。
この時に下の縁と上の縁の模様が合うように気を付けます。
裏向けて、糸が横から見えないように隠し縫いをしながら縫っていきます。
最後に模様を合わせながら、縁と縁を曲針で縫いとめて完成です。